インターネット上で特定の問題や主張に関して、実名を登録して署名すること、およびそのようにして集められた署名。地域的な制約を受けないため、多くの署名を短期間に集められるという利点がある。オンライン署名、インターネット署名、ウェブ署名ともいわれる。登録は、ウェブサイトに設けられた署名欄に実名、住所、メールアドレスなどを入力し、送信することで行う。また、ウェブサイトから署名用紙をダウンロードして印刷し、ファックスや郵送などで送り返してもらうことで、自署による署名にも対応している場合がある。
国会や公的機関への請願や陳情については、署名は原則として直筆でなければならず、真正性が確保できないネット署名は法的な拘束力をもたない。しかし、署名者多数をもって陳情対象者へ示威行動をとるという意味では、一定の影響力をもちうる。
2007年にアメリカで発足した署名サイトchange.org(チェンジドットオルグ)は、国際人権団体をはじめとする多くのNGOなどの協力で運営されている。1か月に1万5000件以上もの世界中の署名活動がネット上で公開、実施され、閲覧する世界中の利用登録者数は2500万人以上(2013年時点)とされる。2012年(平成24)には日本語版サイトも開設された。同サイトではネット署名を集めたい個人や団体が陳情内容を登録し、陳情に賛同したchange.orgの登録者がインターネット上で署名を行う。フェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワークと連動しているため、陳情内容をインターネット上で広く拡散させ、多くの賛同を得るとともに、社会論議を活発化させる点で高い効果が見込まれる。change.orgでは、使用されたIPアドレスを監視して重複署名ができないようにするといった方法で、ネット署名の信頼性向上にも取り組んでいる。一方、実名などが集められているだけに、個人情報の漏洩(ろうえい)や不正利用の危険性が高いとも指摘されている。
[編集部]
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