改訂新版 世界大百科事典 「ノガンモドキ」の意味・わかりやすい解説
ノガンモドキ
seriema
cariama
ツル目ノガンモドキ科Cariamidaeの鳥の総称,またはそのうちの1種を指す。この科はノガンモドキChunga cristataとクロアシノガンモドキC.burmeisteriの2種からなる。解剖学的にはツル科にもクイナ科にも似ている点がある。全長76~90cm。両種ともにくびと脚と尾が長く,くちばしはやや扁平で,わずかに下に曲がっている。あしゆびは短いが,その基部には小さな水かきをそなえている。羽色は全体に灰褐色で細かい虫食い模様があり,下面は白っぽい。風切と尾羽には白帯がある。上くちばしの基部にやや硬い長い羽毛が生じ,とくにノガンモドキでは飾羽状になっている。
ブラジル南部からウルグアイ,アルゼンチン北部にかけて分布する。乾燥した草原や,疎林や灌木の散在する荒地などにつがいか小群ですみ,飛行力はあるが,おもに地上で生活している。走るのは速い。食性は雑食で,昆虫類,ヘビ・トカゲ類,小哺乳類,種子,果実などをとって食べる。低い樹上に大きな巣をつくり,1腹2~3個の卵を産む。抱卵,育雛(いくすう)は雌雄が交替でする。昔からよく狩猟されているために,人を避ける性質が強い。しかし,飼えば人によくなれ,見知らぬものには大声でさわぎたてるので,番犬のかわりに使われることもある。
執筆者:安部 直哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報