ハウチ(読み)はうち

日本歴史地名大系 「ハウチ」の解説

ハウチ
はうち

アイヌ語に由来する地名クナシリ(キナシリ)北方、東海岸に位置し、当地一帯は近代に入り東沸とうふつ村に包含された。仮名表記は「ハウチ」(「蝦夷拾遺」、木村「蝦夷日記」、「東蝦夷地場所大概書」、「蝦夷日誌」三編、山川地理取調図)のほか「パウチ(東行漫筆)もある。「蝦夷日誌」(三編)は当地の本名は「ラウシ」であり、「訛てハウチと云」とする。当地は「蝦夷拾遺」が「十二所各海岸に臨んで蝦夷家あり」とする一ヵ所で、「東蝦夷地場所大概書」の東海岸通地名に「ハウチ」、「東行漫筆」の「東海岸通り」の地名に「パウチ」とみえる。木村蝦夷日記」には「温泉アリ硫黄ノ臭ナシ」「清潔噴起海面して右に去ること一丁計、食物ニ成ル赤地有、熱スル所有、空孔より気を吹所もあり、皆熱す、併跣足ニ而行」「魚肉煮たる所へ此土を入れば味噌汁のことくにして 食するに毒なしといふ」(寛政一〇年八月九日条)と記されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報