ハシリグモ(読み)はしりぐも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハシリグモ」の意味・わかりやすい解説

ハシリグモ
はしりぐも / 走蜘蛛

節足動物門クモ形綱真正クモ目キシダグモ科ハシリグモ属のクモの総称草間水辺徘徊(はいかい)し、危険を感じると水上を滑走し、また水に潜る。そのためによくミズグモと間違えられる。卵を産むと、卵嚢(らんのう)を口にくわえて持ち歩く。孵化(ふか)直前には枝の間に糸を引き回して卵嚢を取り付ける。造網性から徘徊性に転じたクモであるが、このときだけ造網性の名残(なごり)がうかがえる。子グモがかえり旅立つまで親グモは子グモのそばを離れない。イオウイロハシリグモDolomedes sulfureus体長18~28ミリメートル、全体が黄褐色のものから、黄色の地に黒い縦条(たてすじ)のあるものがある。スジアカハシリグモD. saganus山地に多く、腹部の縦条は赤褐色である。

[八木沼健夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハシリグモ」の意味・わかりやすい解説

ハシリグモ
Dolomedes

クモ綱クモ目キシダグモ科ハシリグモ属に属する種類の総称。体長 13~28mm。体は黄褐色または黒褐色で,脚は長く,腹部は細く,長い。本州から九州にかけて多く分布する。8月中頃に産卵し,卵嚢を口にくわえて運搬する。孵化する直前に木の枝の間に糸をひいてつるす。イオウイロハシリグモ,スジボケハシリグモ,スジブトハシリグモ,アオグロハシリグモ,スジアカハシリグモなど,数種類が知られている。 (→キシダグモ )

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世界大百科事典(旧版)内のハシリグモの言及

【クモ(蜘蛛)】より

…そのために交尾期になると雌の周辺には,数匹の雄がある距離をおいて集まり,ひたすらその機会を待つ。
[獲物のとり方]
 クモが餌をとらえる方法も,ふつうの網でとるもののほか,池の端で2本の前肢で水面をたたき,浮上してくる小魚をつめでひっかけて釣るハシリグモDolomedes triton,網を4本の前肢でささえ,下を通る虫の上にぽいとかぶせるメダマグモDinopis spinosa,粘球を糸の先にぶら下げ,これをぐるぐる回して,通過する虫に投げかけるナゲナワグモMastophora bisaccata,花の上に脚を広げて静止し,虫が触ってもじっとしていて,虫が安心してみつを吸い始めると,がばっととらえるハナグモMisumena tricuspidatusなどのように多種多様である。
[クモの巣]
 クモの種類が異なれば,網の形も異なる。…

※「ハシリグモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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