日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハシリグモ」の意味・わかりやすい解説
ハシリグモ
はしりぐも / 走蜘蛛
節足動物門クモ形綱真正クモ目キシダグモ科ハシリグモ属のクモの総称。草間や水辺を徘徊(はいかい)し、危険を感じると水上を滑走し、また水に潜る。そのためによくミズグモと間違えられる。卵を産むと、卵嚢(らんのう)を口にくわえて持ち歩く。孵化(ふか)直前には枝の間に糸を引き回して卵嚢を取り付ける。造網性から徘徊性に転じたクモであるが、このときだけ造網性の名残(なごり)がうかがえる。子グモがかえり旅立つまで親グモは子グモのそばを離れない。イオウイロハシリグモDolomedes sulfureusは体長18~28ミリメートル、全体が黄褐色のものから、黄色の地に黒い縦条(たてすじ)のあるものがある。スジアカハシリグモD. saganusは山地に多く、腹部の縦条は赤褐色である。
[八木沼健夫]