改訂新版 世界大百科事典 「ハッタジュズイミミズ」の意味・わかりやすい解説
ハッタジュズイミミズ
Drawida hattamimizu
貧毛綱ジュズイミミズ科の環形動物。金沢市の八田町(発見当時は八田村)に産し,砂囊(食物を消化する部分,すなわち胃)が数珠状になっているところから,この名がある。金沢市と滋賀県に分布し,水田の泥中にすむ。体はよくのびると1mほどにもなるが,40~60cmのものが多い。体節数300~400。色は背面が濃いあい色で,腹面は灰色。成熟したときに生ずる環帯は淡紅色で,第9~15体節を占める。各体節に短い剛毛が8本ある。背孔はない。砂囊は第12体節より6個あるいはそれ以上が数珠のように並んでいる。ジュズイミミズ科Moniligastridaeの種類はほとんどがインド,フィリピン,マレー半島などの南方に分布しており,この種類だけが日本に生息しているのは特異的である。八田町付近では以前に,このミミズを餌にしてウナギ釣りをしていた。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報