デジタル大辞泉
「砂嚢」の意味・読み・例文・類語
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さ‐のう‥ナウ【砂嚢】
- 〘 名詞 〙 ( 「嚢」はふくろの意 )
- ① 砂をいれた袋。水の流入を防ぐためなどに用いられる。また、サンドバッグのこと。
- [初出の実例]「いきなり彼は室の隅っこに投げて置いた砂嚢を吊るさげると」(出典:混血児ジョオヂ(1931)〈浅原六朗〉一)
- ② 鳥類の胃の後半部の筋肉性の袋状の部分。消化液の分泌はないが、飲みこんだ砂粒などを貯え、それによって食物を細かく砕く。草や木の種子を食べる鳥によく発達。胃の前半部は前胃という。砂ぶくろ。砂ぎも。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
すな‐ぎも【砂嚢】
- 〘 名詞 〙 鳥類の胃の一部。のみこんだ砂粒などを貯え、それで食物を細かく砕く。すなぶくろ。さのう。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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砂嚢
さのう
動物の消化管の一部で、内側がキチン質の厚い層で覆われ、強力な筋肉をもつ器官の総称。砂嚢は、堅い穀粒や繊維質に富んだ食物を摂食する動物にみられ、これらの食物を砕いて消化を容易にする。貧毛類のミミズでは嗉嚢(そのう)に続く丸い部分で、摂食した砂や土の粒を摩砕と研摩によって小さくし、腸における有機物の吸収の効率を高める。軟体動物では、紅藻・褐藻などを摂食するアメフラシ(後鰓(こうさい)類)は、クチクラの歯をもって藻類を破砕する砂嚢と、濾過(ろか)器として働く砂嚢の二つをもつ。頭足類のマダコ、コウイカは肉食動物ではあるが、食道に続いて砂嚢をもち、この砂嚢は胃としても働き、消化を行う。昆虫のうち直翅(ちょくし)類などでは、嗉嚢に続く球形の部分が砂嚢を形成する。ゴキブリの砂嚢は、6本の放射状に配列された歯をもつ。鳥類の胃は、消化酵素ペプシンを出す前胃と、それに続く砂嚢に分かれていて、とくに草食性の種類では、砂嚢はキチン質の層も筋肉層もきわめてよく発達している。鳥類は歯をもたないが、食物は前胃で消化酵素と混ぜられたのちに砂嚢で時間をかけてそしゃく・消化される。この仕組みは、食物を摂取したのちにすぐ飛翔(ひしょう)するのに都合がよいと考えられる。
[八杉貞雄]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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砂嚢【さのう】
貧毛類,昆虫,鳥類の消化管の一部分で,食物の破砕がおもな働き。昆虫類を除き,筋壁の発達していること,のみ込まれた砂や小石が内部にあって破砕を助けることが特徴。貧毛類と昆虫では【そ】嚢(そのう)に続く前腸の一部分で,堅いキチン層やキチン歯をもつ。鳥類では前胃に続く胃の後半部で,内壁は角質の膜でおおわれている。ニワトリ,ハトなど果実,穀類を食べる鳥でよく発達するのに対して,ウ,ワシ・タカ,フクロウなど動物食性のものでは,あまり発達しない。
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砂嚢
さのう
gizzard
(1) 貧毛類の 嗉嚢と小腸の間に位置する消化器官。厚い筋壁をもち,砂粒とともに飲み込んだ食物を砕く。 (2) 昆虫類の前腸に位置し,筋壁とキチン歯で食物を砕く。 (3) 鳥類にある筋肉質の胃で,真胃ともいう。鳥類の胃は通常前方の前胃と後方の砂嚢の2つに分れ,前胃は消化腺に富む。砂嚢は強力な筋肉胃で,その中に飲み下した小石や砂利を含み,主として食物を機械的に消化する。鳥類は歯をもたないため,砂嚢が食物の細分化を受持つ。したがって,穀物食や果実食の鳥で特によく発達している。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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