動物の消化管の一部で、内側がキチン質の厚い層で覆われ、強力な筋肉をもつ器官の総称。砂嚢は、堅い穀粒や繊維質に富んだ食物を摂食する動物にみられ、これらの食物を砕いて消化を容易にする。貧毛類のミミズでは嗉嚢(そのう)に続く丸い部分で、摂食した砂や土の粒を摩砕と研摩によって小さくし、腸における有機物の吸収の効率を高める。軟体動物では、紅藻・褐藻などを摂食するアメフラシ(後鰓(こうさい)類)は、クチクラの歯をもって藻類を破砕する砂嚢と、濾過(ろか)器として働く砂嚢の二つをもつ。頭足類のマダコ、コウイカは肉食動物ではあるが、食道に続いて砂嚢をもち、この砂嚢は胃としても働き、消化を行う。昆虫のうち直翅(ちょくし)類などでは、嗉嚢に続く球形の部分が砂嚢を形成する。ゴキブリの砂嚢は、6本の放射状に配列された歯をもつ。鳥類の胃は、消化酵素ペプシンを出す前胃と、それに続く砂嚢に分かれていて、とくに草食性の種類では、砂嚢はキチン質の層も筋肉層もきわめてよく発達している。鳥類は歯をもたないが、食物は前胃で消化酵素と混ぜられたのちに砂嚢で時間をかけてそしゃく・消化される。この仕組みは、食物を摂取したのちにすぐ飛翔(ひしょう)するのに都合がよいと考えられる。
[八杉貞雄]
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