日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナカミキリ」の意味・わかりやすい解説
ハナカミキリ
はなかみきり / 花天牛
昆虫綱甲虫目カミキリムシ科ハナカミキリ亜科Lepturinaeの昆虫の総称。北半球の温帯域に多く分布しており、一部が熱帯や南半球に産する。日本には150種近くがおり、一般に中形から小形、細形で上ばねは後方へ多少とも細まることが多い。色彩は黄、赤から黒色で、模様のあるきれいな種類も多く、金属色のルリハナカミキリAnoplodera cyaneaなどもある。頭は前方に突き出し、首はくびれ、前胸は後部が広い鐘形のことが多く、前脚の基節は円錐(えんすい)形に近い。成虫は春から夏にかけて花に集まり花粉を食べる昼間活動性のものが大部分であるが、ハイイロハナカミキリRhagium japonicumなど花にこないで枯れ木、倒木にくるもの、ケブトハナカミキリCaraphia lepturoidesのように夜間灯火にくるものもある。雌は枯れ木や伐採した木に集まって産卵し、幼虫はそれら枯れ木や朽ち木の皮下や材を食べて育つ。なお、上ばねが短小になり、一見ハチのようでよく飛ぶホソコバネカミキリ属Necydalisなどもこの亜科に含められている。ハナカミキリの代表的な種には、アカハナカミキリCorymbia succedanea、ヨツスジハナカミキリLeptura ochraceofasciataなどがある。
[中根猛彦]