改訂新版 世界大百科事典 「ハマグルマ」の意味・わかりやすい解説
ハマグルマ (浜車)
Wedelia chinensis (Osbeck) Merr.
海岸のやや湿った草地に生えるキク科の多年草。茎は地をはって節から根をおろし,よく分枝する。葉は対生し,披針形~長楕円形,縁に2~3個の低い鋸歯がある。ときに最下位の鋸歯が強く開出する。茎,葉ともに圧毛がある。花期は8~9月。花は斜上した茎の先につく頭花で,開花直径2~2.5cmである。周辺の小花は舌状花で,1頭花につき8~13個,黄色である。和名はこの植物を浜に咲く車に見たてたところからつけられた。別名をクマノギクというが,これは和歌山県熊野で初めて発見されたことによる。分布域は伊豆半島以西,四国,九州,琉球から東南アジアに至る。同じくハマグルマと呼ばれるものにネコノシタW.prostrata (Hook.et Am.) Hemsl.がある。これは海岸の砂浜に生える多年草で,クマノギクと同様に地をはう性質がある。花期は7~10月。花はクマノギクよりひと回り小さい。また,クマノギクの冠毛が皿状または杯状であるのに対し,ネコノシタの冠毛は1~2個の脱落性の剛毛である。分布域もほぼ同様で,日本海側を北陸地方にまで北上している。和名のネコノシタは葉の質が厚く,短剛毛が生えていてざらつくことによる。
執筆者:小山 博滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報