汀線(ていせん)付近の砂礫(されき)の堆積(たいせき)地形。これら砂礫による海岸を砂浜海岸(さひんかいがん)といい、磯(いそ)の岩石海岸と区別される。寄せ波が遡上(そじょう)したり下ったりしているやや急な勾配(こうばい)の前浜(まえはま)と、それより陸側のほぼ水平な後浜(あとはま)からなり、沖側に沿岸トラフとよばれる深みと、沿岸底州とよばれる浅瀬を有することがある。後浜より陸側には浜堤(ひんてい)や砂丘がみられ、草木に被覆されている。砂浜の幅は、数メートルの狭いものから数キロメートルに達する広いものまである。砂浜の勾配は、粒度の大きいほど急傾斜となる傾向がある。砂浜の厚さは、数メートル内外と薄い場合が多く、砂浜の下に岩礁面が隠されていることが多い。
砂浜の砂礫は波によってジグザグ移動したり、離岸流(リップ流)で沖へ運ばれたり、向岸流で打ち上げられたりして移動する。日本海沿岸では、波の荒い冬季に侵食され、静穏な夏季に堆積するようなビーチサイクルを行うことが知られている。このような自然の砂の動きを突堤などによって人為的に止めると、海岸侵食などの問題を引き起こすことがある。砂浜は海水浴場などとして、観光や保養面での利用価値が高い。
[豊島吉則]
… 海岸の形態を表現する日本語として,〈いそ(磯)〉と〈はま(浜)〉という用語がある。学術用語としては,岩石海岸と砂質(または砂浜)海岸という語がそれに対応する。岩石海岸は固結した岩石からなる海岸で,そこにおける地形変化はおもに波浪による構成岩石の除去に基づく浸食過程であり,その過程は一方的・不可逆的で,変化した地形は回復しない。…
…浜という言葉は,日本では,海や湖に沿った比較的平たんな砂礫地を指して使われ,岩礁性の磯浜と砂泥性の砂浜とがある。漁村では,浜は,地引網(じびきあみ)などの網引場として,あるいは船揚場や網干場として共同で管理されている場合が多い。…
※「砂浜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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