日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマザーニー」の意味・わかりやすい解説
ハマザーニー
はまざーにー
Abū al-Fadl al-Hamadhānī
(969―1007)
中世ペルシアのアラビア語詩人で、マカーマmaqāmah作者。バディー・ウッ・ザマーン(当代の驚異)の通称で広く知られた。ペルシアのハマザーンに生まれる。994年にネイシャーブールでつくった『マカーマート』Maqāmāt51編は、マカーマ形式による有韻散文の物語集である。全体を通じての主人公はイスカンダリーヤ(アレクサンドリア)生まれのアブ・ル・ファトフで、マカーマ形式の常として、この主人公の機知に富んだ道化で読者や物語の聞き手を笑わせ楽しませる。この作品は広く愛好され、この形式を模した者も多く、ハリーリーの『マカーマート』とともに傑作とされる。
[矢島文夫]