改訂新版 世界大百科事典 「バイオアッセー」の意味・わかりやすい解説
バイオアッセー
bioassay
生物学的定量法ともいう。生理活性物質の定量をその生物に対する活性を指標として行う方法で,代表的なものは微生物を利用するアミノ酸,ビタミンなどのバイオアッセーである。乳酸菌やある種の酵母などアミノ酸やビタミンを必須生育因子として要求する菌は,培地に飽和濃度以下のこれらの物質を添加した場合,その添加量にほぼ比例した生育を示すので,あらかじめ物質濃度と生育量の関係を標準曲線として求めておけば,生育量から逆に物質量を決定することができる。例えば試料中のL-グルタミン酸をこの方法で定量しようとする場合は,それを生育に要求する乳酸菌を利用し,グルタミン酸以外のすべての生育に必要な成分を含む完全合成培地に一定量の試料を加えてから菌を接種し,培養後,菌の生育に応じて生成した乳酸を定量して標準曲線と比較することにより,試料中のL-グルタミン酸を求める。この方法は感度が高く,また化学的には区別できない立体異性体の中の生物活性のあるものだけを測定しうる点ですぐれている。
このほかに,ペニシリンなど抗菌物質の量を微生物の生育阻止の程度から求めることもできる。さらに,植物や昆虫のホルモンや殺虫剤などの量をそれぞれの植物,昆虫に対する活性から求める方法も広義のバイオアッセーに含まれる。
執筆者:別府 輝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報