改訂新版 世界大百科事典 「バイモ」の意味・わかりやすい解説
バイモ
Fritillaria thunbergii Miq.
中国原産で,日本では鎮咳,去痰などの生薬として栽培されているユリ科バイモ属の多年草。草丈15~90cm,葉は多数で,線状披針形,その先端は巻きひげ状となって巻きつくことがある。地下に白い鱗茎をもつ。花は1~7個,完全な両性花か雄性単性花で,下垂し,鐘状,花被片6枚,外側は淡黄緑色,内側には紫色の網目模様がある。このことから,アミガサユリ(編笠百合)の別名がある。中国ではこの属の数種の鱗茎を〈貝母〉というが,ベルチシンverticineなどのアルカロイドを含み,古くから薬用として利用された。和名のバイモはこれの日本語読みによる。このバイモに似ているが,小さいのでコバイモといわれる植物群が日本にあり,7種野生している。
執筆者:鳴橋 直弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報