日本大百科全書(ニッポニカ) 「ババガレイ」の意味・わかりやすい解説
ババガレイ
ばばがれい / 婆々鰈
婆鰈
slime flounder
[学] Microstomus achne
硬骨魚綱カレイ目カレイ科に属する海水魚。千島列島および樺太(からふと)(サハリン)から静岡県までと、日本海の各地、黄海、渤海(ぼっかい)、東シナ海に分布する。口は小さく、口唇は肥厚する。歯は無眼側でよく発達する。鱗(うろこ)は小さく皮下に埋まる。体の表面に粘液が多く一見汚く見えることが、ババガレイの名前(ばばちい=汚いカレイ)の由来である。ナメタガレイの別名がある。体色は暗褐色のものが多い。
水深50~400メートルの砂泥底にすみ、ゴカイ類、クモヒトデなどを食べる。北海道の太平洋岸のものは生後7、8年してから成熟し始め、三陸沿岸沖に南下して、3、4月ごろに産卵する。孵化仔魚(ふかしぎょ)は全長3.9~4.6ミリメートル。1年で体長8センチメートル、3年で14センチメートル、4年で16~19センチメートルほどになる。最大で体長45センチメートルぐらいになる。成長は海域によってかなり差がある。秋から春にかけて底引網や底刺網(そこさしあみ)で多く漁獲される。北海道や東北地方ではカレイ類のなかでは最高級魚とされ、煮つけ、から揚げ、高級ちくわなどにする。ほかの地方では、むしろ中級魚として取り扱われている。
[尼岡邦夫]