改訂新版 世界大百科事典 「バルキテリウム」の意味・わかりやすい解説
バルキテリウム
Baluchitherium
奇蹄目サイ科の1属で,地上最大の哺乳類。頭骨長1.2m,体長10m,肩高5mもある。角はなく,キリンのように首が長く,ウマのようなからだつきをしていて,四肢骨も趾骨(しこつ)も長く,趾行性である。バルーチスターンのほか,アラル海沿岸,カザフ,モンゴルなどで化石が知られ,漸新世から中新世前期に中央アジアの地域に分布していた。比較的乾燥した開けた森林に生活し,長い首をのばして高い樹冠の小枝や葉を食べていたものと思われる。学名はバルーチスターンのけものたち(テリウム)に由来する。近縁のものにパラケラテリウムParaceratherium,インドリコテリウムIndricotheriumなどがあるが,バルキテリウムの亜属として扱われる。
執筆者:亀井 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報