日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルミーの戦い」の意味・わかりやすい解説
バルミーの戦い
ばるみーのたたかい
1792年9月20日に行われた、フランス軍とオーストリア・プロイセン連合軍との戦闘。バルミーValmyはパリ東方のマルヌ県の谷あいにある小丘。フランス軍司令官デュムーリエのもとで、ケレルマン将軍は最前線のバルミー堡塁(ほるい)を死守し、午前8時以後間断ない敵の砲撃にも歩兵の突撃にも屈せず、激闘は8時間に及んだ。フランス軍は、夕刻ついに連合軍の攻撃を阻止して、凱歌(がいか)を高唱した。フランスの北東部に進撃しロンウィ、ベルダンを抜いた連合軍もこの戦闘により士気を失い、作戦上に迷いを生じたのか、しきりに帰国を急ぎ始める。しかもフランス軍の主力が、貴族ならぬ農民主体の義勇兵であったため、このとき従軍したゲーテは感嘆して、「ここに新しい世界史の世紀が始まろう」と記した。
[金澤 誠]