改訂新版 世界大百科事典 「パイユート族」の意味・わかりやすい解説
パイユート族 (パイユートぞく)
Paiute
北アメリカのグレート・ベースン文化領域,現在のアメリカ合衆国ユタ,ネバダ,アリゾナ諸州の保留地に居住するアメリカ・インディアン。言語学的にはユト・アズテク系の言語を話す。伝統的には乾燥した砂漠的環境の下で遊動生活を送り,禾本科植物の種子や松の実の採集,シカ,ノウサギなどの狩猟など,季節的に入手しうる食糧資源を最大限に利用する生業活動が特徴であった。社会集団の単位も小さく,乾季(夏)には数家族から成る小バンドを,種子採集期の秋から冬にかけてはやや大きなバンドを形成していた。
このような生業形態をJ.D.ジェニングズは〈デザート文化伝統〉と命名し,約1万年前から歴史時代まで継続していたと考えた。そして,デザート文化伝統を基盤に新大陸特有の農耕が成立したとみなし,パイユート,ショショニなどのグレート・ベースン地方の諸族をこの文化の最近の担い手と解釈している。
執筆者:小谷 凱宣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報