パタスモンキー(その他表記)patas monkey
Erythrocebuspatas

改訂新版 世界大百科事典 「パタスモンキー」の意味・わかりやすい解説

パタスモンキー
patas monkey
Erythrocebus patas

霊長目オナガザル科に属する旧世界ザル。レッドモンキーred monkeyともいうように,頭から背,腰,尾などが赤褐色である。胸や腹部は白い。パタスは原地語で“赤い”を意味する。頭胴長58~75cm,尾長62~74cmとオナガザル科の中では比較的大型であるが,四肢が細長くすらりとした体型をしている。また,雄と雌には著しい体格差がある(雄7~12kg,雌4~7kg)。西アフリカからナイル川上流域にわたるサバンナ草原,半砂漠に生息する。地上生活によく適応しており,行動は敏しょうで,霊長類の中ではもっとも速く走るといわれる。草,果実,種子などのほかに,昆虫トカゲなども食べる。6~9月ごろにはっきりとした交尾期が見られる。通常,1頭のおとなの雄に複数の雌,子どもからなる9~30頭の集団で生活し,集団どうしは排他的である。また,雄だけからなる集団も知られている。捕食者が近づくと雄は茂みの上ではね回り,捕食者の気を散らせて,その間に雌や子どもが逃げるという。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パタスモンキー」の意味・わかりやすい解説

パタスモンキー
ぱたすもんきー
patas monkey
[学] Erythrocebus patas

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オナガザル科の動物。1属1種で、オナガザル属Cercopithecus近縁である。アフリカの西部から東部にかけてのサバナ地帯に分布する。地上生活に適応し、高速の疾走に適した短い指と長い四肢をもち、すんなりとした体格をもつ。体長、尾長とも約70センチメートル。体毛は背側が赤褐色で、腹側は白い。食性は植物性食物を中心とする雑食で、昆虫やトカゲも食べる。1頭の雄を含む10~30頭の単雄群をつくり、50平方キロメートルもの大きな遊動域をもつ。群れの成員は、日中はまとまって行動するが、夜は広く分散して眠る。

[川中健二]


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