パララトン(その他表記)Pararaton

改訂新版 世界大百科事典 「パララトン」の意味・わかりやすい解説

パララトン
Pararaton

インドネシアジャワ東部のシンガサリおよびマジャパイト両王朝の歴代王の伝記。《パララトン》とは〈諸王の書〉の意。キドゥンと呼ばれるジャワ語韻文で書かれており,作者をタントゥーラルとする説もあるが,不明の点が多い。1222年のケン・アンロックによるシンガサリの建国から1420年ごろまでを記述の対象とするが,歴史事実の記録というより文学作品としての性格が強い。16世紀ごろバリ島で書かれたと考えられ,オランダの学者ブランデスJ.L.A.Brandesが1896年に数種の写本から原文を校訂し,オランダ語の訳注を付して出版した。ブランデスはその数年前にバリ島出身のロンボク島支配者の蔵書中から《ナーガラクルターガマ》の写本を発見しており,両者の比較が可能となった。《パララトン》の史料的価値ははるかに劣るが,キドゥンという韻文形式そのものは,後世に多くの〈キドゥン何々〉という書物として受け継がれた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 永積

関連語をあわせて調べる

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む