ヒッグス機構(読み)ヒッグスきこう(英語表記)Higgs mechanism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒッグス機構」の意味・わかりやすい解説

ヒッグス機構
ヒッグスきこう
Higgs mechanism

ゲージ理論に現れるゲージボソン質量は一般に 0であるが,ヒッグス粒子と呼ばれるスピン 0の荷電粒子を導入し,自発的対称性の破れを誘起すると,ゲージボソンに有限の質量をもたせることができるという機構。1964年ピーター・ヒッグスらによって提案された。従来の有限質量のベクトルボソンの理論はくりこみ不可能であったが,この機構を使うとくりこみ可能な理論ができる(→くりこみ理論)。この機構はワインバーグ=サラムの理論に応用された。超伝導において同様の機構により光子が有限質量をもつプラズモンになることがフィリップ・W.アンダーソンによって指摘されていたため,アンダーソン=ヒッグス機構と呼ぶこともある。大型ハドロン衝突型加速器 LHCなどの巨大加速器はヒッグス粒子の発見を目的にしている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android