パキスタンの物理学者。ジャングに生まれる。1946年パンジャーブ大学卒業後、イギリスのケンブリッジ大学に留学、理論物理学で博士号を取得した。1951年帰国し、ラホールの国立大学やパンジャーブ大学で数学を教えた。1954年ケンブリッジ大学の講師、1957年ロンドンのインペリアル・カレッジの理論物理学教授となった。また、開発途上国の物理学者を援助するための理論物理学国際センターの建設に努力し、1964年にそれがイタリアのトリエステに設立されると、その所長についた。
サラムの研究は、くりこみ理論、ニュートリノ、素粒子の対称性など多岐にわたっている。グラショーの弱・電磁理論に注目し、1968年にその理論を発展させ、弱い相互作用と電磁相互作用を統一的に扱う理論を新たに提唱した。これは1967年にワインバーグが発表したものと同一の理論であったが、ワインバーグとは独立にみいだしたもので、ワインバーグ‐サラムの理論とよばれた。この理論はゲージ理論の一種であり、中性の四次元の流れ(カレント)の存在を予言している。この業績により1979年、グラショー、ワインバーグとともにノーベル物理学賞を受賞した。
[編集部]
『アブダス・サラム著、和田純夫訳『究極の宇宙法則』(1991・岩波書店)』
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