ヒト上科(読み)ヒトジョウカ

関連語 中務 真人

改訂新版 世界大百科事典 「ヒト上科」の意味・わかりやすい解説

ヒト上科 (ヒトじょうか)
Hominoidea

人類類人猿,すなわちヒトとヒトに近縁霊長類の仲間を含む生物分類群。1758年にC.リンネによってつくられた。現生種では,ヒト,チンパンジー,ボノボ,ゴリラ,オランウータン,テナガザル類が含まれる。現生ヒト上科は,大臼歯かたち,肘や手首の関節の構造,幅広い胸郭,背中側にある肩甲骨,尻尾がない,比較的ゆっくり成長するなどの解剖生理学的類似性を示すが,これらは平行進化したものも含むようである。化石種まで含めれば,ヒト上科の定義として最も有効な特徴は,尾を失い,退化した尾椎が腹側に引きずられ,骨盤底を支える筋の支点となっていることである。尾が退化した種類のオナガザルや原猿であっても,こうした特徴は認められないため,ヒト上科における尾の退化は共有派生形質と考えられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヒト上科の言及

【真猿類】より

…霊長目真猿亜目Anthropoideaに属する哺乳類の総称。オマキザル上科,オナガザル上科,ヒト上科を含み,原猿類とともに霊長目を二分する。現生の真猿類は中南米のヨザル種を除いてすべて昼行性で,樹上での集団生活を基本とし,この生活様式を通じて,形態上行動上のいわゆるサルらしさを獲得するに至った。…

※「ヒト上科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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