改訂新版 世界大百科事典 「ビグノニア」の意味・わかりやすい解説
ビグノニア
Bignonia
ノウゼンカズラ科ツリガネカズラ属Bignoniaの常緑のつる性低木。おもに中南米に産するほか,東南アジア,アフリカ,北アメリカなどに80種あまりを産する。葉は対生の3出複葉,最先端の小葉は枝分れした巻きひげ状となる。花は腋生(えきせい)する集散花序につく。花冠は漏斗状。この属はかつては,雑多なノウゼンカズラ科の植物を含む400種あまりの大きな群であったが,その後,分類が整理され,クリトストマClytostoma,ドキサンサDoxantha,ピロステギアPyrostegiaなど約50属に細分されるようになった。美しい花をつける種が多く,熱帯や温暖地で栽培される。
ツリガネカズラDoxantha capreolata Miers(=B.capreolata L.)(英名cross-vine)はアメリカ東南部に分布する。つるは木性化し,長さ15m以上となる。葉は緑色で卵形か長楕円形,全縁で先端部はとがる。つるの最先端の巻きひげで他の物体にからみついてのびる。花は6~7月に咲き,外側は橙赤色,内側は淡色である。ほかにビグノニア・アルギレオビオラセンスB.argyreo-violascens Hort.がよく栽培される。アマゾン原産で葉は紫色地に葉脈が銀白色で美しいが,寒さに弱い。ツリガネカズラは性質が強く,冬も関東以西では戸外で育つ。スイカズラ,ツキヌキニンドウなどと同じように日当りに植え,鉄柵などにからませる。繁殖は株分けやつるを5~10cmに切って挿すほか,実生もできる。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報