ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビケフレイベルガ」の意味・わかりやすい解説
ビケフレイベルガ
Vike-Freiberga, Vaira
ラトビアの政治家,心理学者。大統領(在任 1999~2007)。東ヨーロッパの旧共産主義国初の女性国家元首。第2次世界大戦終了まぎわ,ソビエト連邦軍のラトビア侵攻に伴い,家族とともにドイツへ逃れ,のちにフランス領モロッコへ移った。1954年にカナダに移住し,トロント大学(1958学士号,1960修士号取得)およびマギル大学(1965博士号取得)で心理学を学んだ。1965年から 1998年までモントリオール大学で心理学の教授を務め,1998年に退職してラトビアに帰国。ラトビア文化の推進を担う非営利団体ラトビア研究所の所長となった。1999年6月,ラトビア議会は 6回に及ぶ投票の行きづまりをうけ,政治家としての経験のないビケフレイベルガを大統領に選出,ビケフレイベルガは翌 7月に就任した。期せずして大統領となったにもかかわらず就任後ただちに行動し,2期の首相経験をもつアンドリス・シケレを首相に任命,財政赤字抑制の任にあたらせた。外交政策では確固とした西ヨーロッパ化路線をとり,ラトビアの北大西洋条約機構 NATO加盟に反対するロシアや,NATOがあからさまにバルト3国の加盟に抵抗を示していることを批判した。2期目に入った 2004年,ラトビアはヨーロッパ連合 EU,NATO双方への加盟を果たした。2005年には,国際連合改革のためにコフィ・アナン事務総長を支援する特使に任命された。3選を禁じる憲法の規定により,2007年に大統領を退任した。
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