ビドール

百科事典マイペディア 「ビドール」の意味・わかりやすい解説

ビドール

フランスのオルガン奏者,作曲家。ハンガリー人を祖先にもつ。生地リヨンでオルガン奏者の父に学んだのち,ブリュッセル音楽院に入学。J.S.バッハの流れを引くオルガン奏者J.N.レメンス〔1823-1881〕らに師事。1869年パリのサン・シュルピス教会のオルガン奏者に就任し,1934年まで65年間この地位にあった。また1890年C.フランク後任としてパリ音楽院でオルガン教授に就任,その後も作曲教授などを歴任し,ビエルヌ,デュプレシュワイツァーオネゲルミヨーらを教える。即興演奏とともにバッハの演奏で名声を博し,シュワイツァーとともにバッハの《オルガン作品集》5巻(1912年−1914年)を編集。作曲家としてはフランクの作風を継承する第一人者で,構築性を重んじたオルガンのための交響曲〈オルガン交響曲〉の創始者として知られる。第9番《ゴシック》(1895年)など10曲(1876年−1900年)の壮麗な作品を残した。ほかに多くのオルガン曲,オペラ,交響曲,室内楽曲,ピアノ曲などがある。→オルガンバレーズ

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改訂新版 世界大百科事典 「ビドール」の意味・わかりやすい解説

ビドール
Charles-Marie Widor
生没年:1845-1937

フランスのオルガン奏者,作曲家。ブリュッセル音楽院でJ.S.バッハの流れを汲むレメンスらに学ぶ。1869-1933年パリのサン・シュルピス教会オルガン奏者。また1890年からパリ音楽院でオルガン教授,フーガと対位法の教授,作曲教授を務め,デュプレ,オネゲルらを育てた。即興演奏とともにJ.S.バッハの演奏にすぐれ,オルガンを教えたA.シュワイツァーとバッハの《オルガン作品集》5巻(1912-14)を編集。作曲家としては10曲の〈オルガンのための交響曲〉(1876-1900)という新しい曲種を創り出し,その第9番《ゴシック》(1895)と第10番《ロマーヌ》(1900)で知られている。ベルリオーズ著書補遺として《近代管弦楽法》(1904)を著したことでも知られる。
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世界大百科事典(旧版)内のビドールの言及

【オルガン】より

…オルガンの音色もオーケストラを模し,音量の増減を行う演奏補助装置を付加して,時代の要求にこたえた。フランスのカバイエ・コルA.Cavaillé‐Coll(1811‐99)の作ったロマンティック・オルガンは,その代表的なもので,C.フランク,ギルマンF.A.Guilmant(1837‐1911),ビドールC.M.J.A.Widor(1845‐1937)など交響楽派とよばれる人々が,この楽器を駆使して交響曲風の作品を書いた。ドイツでは全般に衰退がいちじるしく,オルガンで名人芸を披露したリスト,メンデルスゾーン以外は目だった活躍がみられない。…

【オルガン】より

…オルガンの音色もオーケストラを模し,音量の増減を行う演奏補助装置を付加して,時代の要求にこたえた。フランスのカバイエ・コルA.Cavaillé‐Coll(1811‐99)の作ったロマンティック・オルガンは,その代表的なもので,C.フランク,ギルマンF.A.Guilmant(1837‐1911),ビドールC.M.J.A.Widor(1845‐1937)など交響楽派とよばれる人々が,この楽器を駆使して交響曲風の作品を書いた。ドイツでは全般に衰退がいちじるしく,オルガンで名人芸を披露したリスト,メンデルスゾーン以外は目だった活躍がみられない。…

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