デュプレ(読み)でゅぷれ(英語表記)Marcel Dupré

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュプレ」の意味・わかりやすい解説

デュプレ(Jules Dupré)
でゅぷれ
Jules Dupré
(1811―1889)

フランスバルビゾン派風景画家。ナントに生まれる。父親陶器工場で絵付(えつけ)の仕事を学んだのち、1831年からサロンに風景画を出品。その後、テオドール・ルソーと知り合い、バルビゾンをしばしば訪れるが、フランス各地、とくに北海などの風景に題材をみいだす。34年のロンドン旅行では、コンスタブルの風景画にも影響を受けた。自然をモチーフに描く彼の世界は、ロマン派的な叙情性と、印象主義の先駆となる筆触とを同時に備える。代表作に『水門』(1846・ルーブル美術館)など。

中山公男


デュプレ(Marcel Dupré)
でゅぷれ
Marcel Dupré
(1886―1971)

フランスのオルガン奏者、作曲家。ルーアン生まれ。パリ音楽院卒業ノートルダム大聖堂のオルガン奏者を経て、1926~54年パリ音楽院教授、54~56年同院長を務めた。この間世界各地に演奏旅行、卓越した演奏技巧と即興演奏名声をあげた。作曲家としてはオルガン曲を多く残している。教育者としても優れ、その門からは作曲家のメシアン、女流オルガン奏者のマリー・クレール・アランらが出た。

[岩井宏之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュプレ」の意味・わかりやすい解説

デュプレ
Dupré, Jules

[生]1811.4.5. ナント
[没]1889.10.6. リーラダン
フランスの風景画家。バルビゾン派に属し,近代フランス風景画の創始者の一人となる。初めセーブルで陶器の絵付工として出発。 1831年サロンに7枚の風景画を初出品。 34年イギリスに旅行して,J.コンスタブルと R.ボニントンから強い影響を受けた。晩年になるにつれてドラマチックな風景画を創作する方向に向い,作品は類型化していった。代表作『嵐のあとで沈む太陽』 (1851,オルセー美術館) など。

デュプレ
Dupré, Marcel

[生]1886.5.3. ルーアン
[没]1971.5.30. パリ
フランスの作曲家,オルガン奏者。ルーアンのオルガン奏者であった父に学び,のち C.ウィドールに師事し,1934年に師の跡を継いでパリのサン・シュルピス聖堂のオルガン奏者となる。 1920年に J.S.バッハのオルガン曲を全曲暗譜で演奏して以来,卓越したバッハ演奏家および即興演奏の名手として知られ,作品にはオルガンのための協奏曲や交響曲などがある。著書『オルガン即興演奏教本』 Traité d'improvisation à l'orgue (1926) ,『オルガン奏法』 Méthode d'orgue (27) 。

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