ビーハン(その他表記)Brendan Francis Behan

改訂新版 世界大百科事典 「ビーハン」の意味・わかりやすい解説

ビーハン
Brendan Francis Behan
生没年:1923-64

アイルランドの作家。アイルランド国歌《兵士フィアナの歌》の作詞者キアニーPeadar Kearneyの甥。共和主義的な家庭で育ち,1937年にIRAに加入した。39年にイギリスリバプールで爆発物所持のため逮捕され,3年の刑を宣告されてボースタル少年院で服役し,この経験が後にベストセラー《ボースタル・ボーイ》(1958)を生む。41年に釈放され,アイルランドに強制送還されるが,まもなく警察官殺害未遂で再び逮捕された。46年釈放。54年に上演された最初の劇作品死刑囚》はこの入獄中の経験に基づくもので,彼に国際的名声をもたらした。ほかに《人質》(1958),《アイルランドの反逆者の告白》(1965)などがある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ビーハン」の意味・わかりやすい解説

ビーハン

アイルランドの劇作家。1937年IRAアイルランド共和軍)に加わり間もなく捕らえられ計8年を囚人として過ごした。出世作《死刑囚》(1954年)はこれらの体験もとに描いた作品。自伝的小説《ボースタル・ボーイ(感化院の少年)》はベストセラーになった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のビーハンの言及

【アイルランド演劇】より

…50年代にできたパイク座Pike Theatreは,気鋭の演出家アラン・シンプソンのもと,ベケットの《ゴドーを待ちながら》のアイルランド初演をロンドン初演と同年(1955)に行って気を吐いた。ブレンダン・ビーハンBrendan Behanの《死刑囚》(1954初演),同じ作者がまず58年にゲーリック語で書き後に英語に書き改めて国際的に有名になった《人質》もこの劇場で初演された。両作品とも,反英非合法活動を題材とし,アメリカやカナダでは上演禁止となったほど激しい風刺や猥雑な台詞に満ちている。…

※「ビーハン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android