感化院(読み)カンカイン

デジタル大辞泉 「感化院」の意味・読み・例文・類語

かんか‐いん〔カンクワヰン〕【感化院】

もと非行少年非行少女の保護・教化の目的で設けられた施設少年教護院教護院を経て、現在は児童自立支援施設改称

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精選版 日本国語大辞典 「感化院」の意味・読み・例文・類語

かんか‐いんカンクヮヰン【感化院】

  1. 〘 名詞 〙 もと、非行少年や非行少女を収容して、その感化善導をはかった施設。のち教護院と呼ばれた。
    1. [初出の実例]「予て噂ありし感化院設立の儀に付」(出典:朝野新聞‐明治一四年(1881)九月一一日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「感化院」の意味・わかりやすい解説

感化院
かんかいん

非行少年、保護者のない少年、親権者から入院出願のあった少年などを保護し教育するための福祉施設。1933年(昭和8)の少年教護法の制定で少年教護院、47年(昭和22)の児童福祉法制定以後は教護院となった。1884年(明治17)池上雪枝(ゆきえ)が大阪に設けた神道祈祷(きとう)所をはじめとして、翌85年には高瀬真卿私立予備感化院(後の東京感化院)、86年には千葉感化院、また留岡幸助(とめおかこうすけ)の家庭学校(東京)など、1900年(明治33)感化法制定までに各地に私立の感化院が設立され、少年保護事業に重要な役割を演じた。1908年現行刑法施行に伴う感化法の改正により、全国各府県に設置が義務づけられるようになり、非行少年に対する施設内処遇の基礎となった。なお1997年6月の児童福祉法改正に伴い、98年4月より教護院は児童自立支援施設に改称された。

[須々木主一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感化院」の意味・わかりやすい解説

感化院
かんかいん

非行少年や保護者のいない少年を保護,教育してその更生をはかる施設。明治 10年代以降 (1870年代末頃から) 民間篤志家によって各地に設けられたが,1900年感化法が制定されて道府県に設置が義務づけられた。感化法は 1933年に少年教護法 (昭和8年法律 55号) と改められ,感化院は少年教護院と呼ばれることになった。そして第2次世界大戦後は,1947年の児童福祉法の制定に伴って児童福祉施設の一つとしての教護院に改められ,1998年施行の法改正により児童自立支援施設となった。なお,感化院は教育的保護を目的としたが,これとは別に,触法少年矯正施設として,1922年の矯正院法により矯正院 (のちの少年院 ) が設けられた。 (→矯正教育 )

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百科事典マイペディア 「感化院」の意味・わかりやすい解説

感化院【かんかいん】

児童自立支援施設

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世界大百科事典(旧版)内の感化院の言及

【教護院】より

…従来の教護院の対象(〈不良行為をなし,または,なすおそれのある児童〉に限定)と機能(従来は〈入所〉のみ)を拡充したものである。教護院は感化院,少年教護院の後身で,全国に57施設あり,内訳は,国立2施設(武蔵野学院,きぬ川学院),私立2施設(北海道家庭学校,横浜家庭学園),他は公立である(1996)。なお,武蔵野学院には,教護事業職員養成所が付設されている。…

【矯正教育】より

…資本主義の発展とともに犯罪が増加して,犯罪対策の必要性が高まり,とりわけ可塑性に富む青少年に対しては,成人犯罪者から分離して処遇することが為政者の課題となった。日本では,その試みは1870年代から80年代にかけて懲治制度として始められたが,それは教育の名に値するものではなく,1884年池上雪枝が大阪に感化院を創設したのにつづいて民間感化事業家たちによる私立感化院設立運動がおこり,政府もようやく1900年に感化法を公布した。しかし,公立感化院教育も懲戒的要素が強く,その成績は不振であった。…

【少年院】より

…外国には私立の少年院もあるが,日本ではすべて国立の施設である(3条)。日本では明治期にまず民間の主導で感化教育が始められ,内務省がこれを推進して私立および公立の感化院が設けられた。しかし大正期には,司法省も少年法の制定に努力し,1922年旧少年法とともに矯正院法を制定して,矯正院を発足させた。…

【武蔵野学院】より

…児童自立支援施設は,不良行為をし,または不良行為をするおそれのある児童を入院させ,教護することを目的とし児童福祉法(1947公布,97一部改正)に基づいて設置される。1900年公布の感化法に基づいて感化院が逐次設置され,1934年少年教護院となり,児童福祉法制定後は教護院と呼ばれていたが,97年の同法一部改正にともなって,児童自立支援施設と改称することとなった。 武蔵野学院は1917年国立感化院令に基づき,当時唯一の国立感化院として埼玉県浦和市郊外に開設された。…

※「感化院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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