改訂新版 世界大百科事典 「ファブリチウス」の意味・わかりやすい解説
ファブリチウス
David Fabricius
生没年:1564-1617
ドイツの牧師,天文学者。オストフリースラント生れ。同じ天文学者で太陽黒点を観測,発表したヨハンネス・ファブリチウス(1587-1615ころ)は息子。プロテスタントの牧師として,レスターハーベからオストエールに勤務するかたわら天体観測を行い,1596年から観測しつづけたくじら座の星が周期的に変光することを発見。星の分類で著名なJ.ヘベリウスのこの星についての観測記録《Historiola Mirae Stellae》にちなんで,今日ではMiraと呼ばれている。
息子のヨハンネスはレスターハーベ生れ。父の影響で早くから天文学に関心をもち,1610年望遠鏡による太陽観測を通じて黒点を父親とともに発見,それが回転することも含めて11年に報告した。G.ガリレオが望遠鏡を作製したのが1609年,太陽黒点について発表し,C.シャイナーと論争に入るのが12年であるから,ファブリチウス父子のこの仕事は,歴史上注目される。
執筆者:村上 陽一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報