翻訳|fiddle
弓奏楽器全般を指して用いられる語であるが,時代と地域によって語意は異なり,これに対する研究者の解釈も多様である。語源は中央アジアに求められ,10世紀に西南アジアを経て南ヨーロッパに弓で弦を摩擦する奏法が伝えられるまでは,撥弦楽器にも同系の名称が用いられていた。11世紀中ごろには種々の弓奏楽器がヨーロッパで広範囲に使用され,小型のレベックrebec(ルベックともいい,一木作りで細い洋梨形)に対して大型のものをフィドルといったとする説があるほか,当時の弓奏楽器中形態の明らかなトランペット・マリーン(細長い箱形),ハーディ・ガーディ,リラ,レベック以外は総じてこの名称が用いられることもある。フィドルの形状は上下の板と側板から成る箱形の胴と,明確に分かれた棹,および板状の糸蔵に前方に向かって挿し込まれた糸巻で特徴づけられる。ヨーロッパにビオル系,続いてバイオリン系の楽器群が確立した16世紀以後,フィドルという名称は価値の低いものを指す蔑称としての傾向ももち始めた。
執筆者:郡司 すみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…舞曲は,南部にはルネサンス舞曲の流れを汲むものが多いが,オランダ,特に北部のフリースラントでは,スコットランドから伝わった軽快なリールが中心をなす。楽器は,ロンメル・ポットとよばれる唸るドラム,ホンメルとよばれるチターの一種,リエールとよばれるハーディ・ガーディ,ドゥーデルザックとよばれるバッグパイプ,木靴を胴体にした小型フィドルなどがあげられる。今日オランダの街角で見かける自動オルガンは19世紀に登場したものだが,大道芸人のなごりをとどめたものといえる。…
※「フィドル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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