フリッチュ(読み)ふりっちゅ(英語表記)Gustav Theodor Fritsch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリッチュ」の意味・わかりやすい解説

フリッチュ
ふりっちゅ
Gustav Theodor Fritsch
(1838―1927)

ドイツの解剖学者、神経学者、人類学者。コットブスに生まれ、ベルリンブレスラウハイデルベルクの大学に学ぶ。精神科医ヒッチヒEduard Hitzig(1838―1907)とともにイヌを用いた実験により、大脳表面への微弱な電気的刺激が特定筋肉収縮を引き起こすことを明らかにし、大脳の機能がいくつもの中枢に分かれているとする大脳機能局在論を打ち立てた(1870)。さらに大脳皮質の局所的切除によるイヌの行動の変化を詳細に検討し、脳が全体として機能するという従来の考え方を完全に打破した。1874年ベルリン大学教授。解剖学・人類学分野における研究用写真技術の改良にも努めた。

[澤野啓一 2018年11月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリッチュ」の意味・わかりやすい解説

フリッチュ
Fritsch, Gustav Theodor

[生]1838.3.5. コトブス
[没]1927.6.12. ベルリン
ドイツの生理学者。 1870年に大脳で部域ごとに機能の分担が行われていることを,E.ヒッチヒとの共同研究によって初めて実証した。彼らは実験材料にイヌを用い,大脳の種々の部位に局所的な電気刺激を加えることによって,身体のそれぞれ特定の部分の筋肉が収縮することを発見。この現象を利用して,身体各部の筋収縮に対応する大脳の部域を決定した。また,大脳の左右半球は,それぞれ右半身,左半身の機能と結びつくことを明らかにした。彼らの研究は大脳各部の役割分担の直接的証明として最初のものであり,大脳生理学発達の基礎をつくった。

フリッチュ
Fritsch, Gerhard

[生]1924.3.28. ウィーン
[没]1969.3.21. ウィーン
オーストリアの小説家。ウィーン市立図書館司書のかたわら創作。小説『石にはえる苔』 Moos auf den Steinen (1956) ,『謝肉祭Fasching (67) などによって期待されたが,自殺した。

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