改訂新版 世界大百科事典 「ブバルジア」の意味・わかりやすい解説
ブバルジア
Bouvardia
アカネ科カンチョウジ属Bouvardiaの半耐寒性低木で,ときとして多年草となる。メキシコ,中央アメリカに30種を産する。葉は卵形か披針形で,対生するか3~4枚が輪生する。花は頂生の集散花序につくが,ときに単生し,長い花筒を有し,花冠は皿形で先が4裂し,花色はサケ肉,橙黄,白色など多彩である。いくつかの種や交配改良品種が栽培され,最近切花などに多く利用される。ブバルジア・ロンギフロラB.longiflora H.B.K.はメキシコの原産,高さ1mくらいの半低木状で,よく分枝する。花は単生で白色,芳香が強い。花期は日本では夏の終りから秋。ブバルジア・テルニフォリアB.ternifolia Schlechtは,メキシコからテキサス西部にかけての原産。高さは0.6~2m,葉は3~4枚が輪生し,花は緋紅色で数花が頂生する。園芸的に改良された品種フンボルティイcv.Humboldtiiは,葉が卵形で対生し,花は頂生し白色で大きく芳香がある。切花に適し,ハウス栽培が盛んである。ブバルジア・ロンギフロラから改良されたものといわれる。ヒブリダcv.Hybridaは,種間交配によって育成されたブバルジア類に対する園芸名で,多くは赤色系の花をつけ,秋・冬咲きとして栽培される。どの種も耐寒性はあまりなく,冬は10~12℃以上を保つが,開花させるにはより高温が必要である。つねに日当りに置き,肥沃な土に植え,生育中は水を十分に与える。繁殖は挿木により,新しい枝の先端を5~6月に挿す。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報