ブラウンの蜂起(読み)ぶらうんのほうき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラウンの蜂起」の意味・わかりやすい解説

ブラウンの蜂起
ぶらうんのほうき

アメリカ合衆国でジョン・ブラウンJohn Brown(1800―59)らが奴隷解放を目ざしてハーパーズ・フェリーHarpers Ferryを襲撃した事件。敬虔(けいけん)な会衆派キリスト教徒であり熱烈な奴隷制廃止主義者であったブラウンは、武力による奴隷解放闘争の根拠地を南部に設立する計画をたてた。北部の奴隷制廃止主義者の支援を得て、1859年10月16日、5人の黒人を含む21人の部下を率いてバージニア州(現ウェスト・バージニア州)ハーパーズ・フェリーの町を襲い、連邦兵器廠(しょう)を占拠したが、18日に逮捕され、12月2日反逆罪で絞首刑に処せられた。彼の計画は粗雑で、奴隷蜂起を引き起こすには至らなかったが、その殉教精神は、奴隷解放戦争に命を捧(ささ)げた北部の人々の精神的支柱となった。

[小池関夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラウンの蜂起」の意味・わかりやすい解説

ブラウンの蜂起
ブラウンのほうき
John Brown's Raid

ハーパーズフェリー襲撃とも呼ばれる。アメリカの熱烈な奴隷制度廃止論者 J.ブラウンが奴隷解放のために行なった実力行動。北部の奴隷解放論者から経済的支援を受け,1859年 10月 16日ブラウンは同志 21人 (白人 16人,黒人5人) を率いてバージニア州アパラチア山地内のハーパーズフェリーにある連邦武器庫を襲撃,占拠したが,R.リー大佐の連邦海兵隊に鎮圧され,同年 12月絞首刑に処せられた。この事件はブラウンの意図したような奴隷の一斉蜂起にはいたらなかったが,奴隷解放が言論のみでなく暴力によらなければ実現しがたいことを示した点で,2年後の南北戦争前兆となった。

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