日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランシュビック」の意味・わかりやすい解説
ブランシュビック
ぶらんしゅびっく
Léon Brunschvicq
(1869―1944)
フランスの哲学者。パリに生まれ、高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)に学ぶ。パリ大学、高等師範学校の教授を歴任。アカデミー会員。カント、ラシュリエの流れをくむ批判的観念論の立場から出発し、しだいに実証主義的傾向を強めながら、その主著『西洋哲学における意識の進歩』(1927)では、人間精神に内的進歩を認める発展的合理主義ともいうべき立場に到達した。しかし、ベルクソンの反主知主義的な創造的進化の考え方には反対し、知性にのみ現実把握の能力を認めた。また、優れた哲学史家、とくに『パスカル全集』の編纂(へんさん)者としても知られ、彼の編んだ『パンセ』は今日まで広く読まれている。
[香川知晶 2015年6月17日]