日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランバーグ」の意味・わかりやすい解説
ブランバーグ
ぶらんばーぐ
Baruch Samuel Blumberg
(1925―2011)
アメリカの内科学者。ニューヨークに生まれる。ユニオン・カレッジで物理学を学び、ついでコロンビア大学大学院で数学を学んでいたが、父の勧めで医学に転じ、1951年博士号を取得した。卒業後、ニューヨーク市のベルビュウ病院、コロンビア・プレスビテリアン医療センターで勤務、1955年オックスフォード大学大学院に進み、1957年理学博士号を得た。その後、アメリカ国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)、フィラデルフィアの癌(がん)研究所の研究員となり、1977年にペンシルベニア大学医学部の教授に就任した。
1960年代初めから世界各地の血液標本を収集、また自ら野外調査を行い、血清タンパクの免疫遺伝学的研究を行った。血液標本の研究の過程で、1963年に、ある患者の血清中に特別な抗体を発見したが、その抗体はオーストラリア先住民の血清中の抗原(オーストラリア抗原)と特異な反応をおこすことをみいだした。オーストラリア抗原はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染者にもみられ、B型肝炎抗原であることが明らかにされたことにより、その後、1973年にHB抗原とよばれるようになった。HB抗原の発見はウイルス性肝炎の予防、治療の発展に大きく貢献した。そのため、1976年「感染症の起源と伝播(でんぱ)の新しい機構に関する発見」に対し、ガイジュセクとともにノーベル医学生理学賞が与えられた。
[編集部]