日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラン・マンジェ」の意味・わかりやすい解説
ブラン・マンジェ
ぶらんまんじぇ
blanc-manger フランス語
冷たい料理菓子(デザート)。皮むきアーモンドに水を加えて挽(ひ)きつぶし、ネルなどの布で包んで絞ると、アーモンドミルクとよばれる白い汁が得られる。これに砂糖、香料、チョコレートなどの風味料、さらには生クリームを混ぜ、ゼラチンで凝固させる冷菓である。このほか、牛乳にデンプン(コーンスターチ)とビターアーモンド油を加えてつくるイギリス風のブラン・マンジェもある。
アーモンドミルクは中世のヨーロッパでは広く利用されており、さまざまな料理やデザート菓子に基礎調理物(フォンやソース)として欠かせないものであった。この点からもブラン・マンジェの起源は古い。クリームを加えたり、ゼラチンで固めるようになったのは18~19世紀以後であるが、それ以前には「にがり」のようなもの(アルカリ物質)を加えて、アーモンドミルク中のタンパク質を凝固させていた。この点は、豆乳を凝固させ豆腐をつくるのとまったく同じであり、中国料理に杏仁豆腐(シンレントウフ)があることとも関連して、この菓子の起源については非常に興味深いものがある。
[熊崎賢三]