改訂新版 世界大百科事典 「ブルーマーズ」の意味・わかりやすい解説
ブルーマーズ
bloomers
裾とウエストを絞ってゆったりとさせた女性,女児用の下ばき,運動着をいう。綿,毛織物で作られる。19世紀半ば,アメリカで婦人服改良を提唱したA.J.ブルーマーが,彼女の新聞《リリー》で紹介して着用をすすめたところから,この名で呼ばれるようになった。もともとはミラーElizabeth Smith Millerによって1850年に考案されたもので,足首で絞ったトルコ風ズボンを,ジャケットと短いスカートに組み合わせて着用した。女性の自転車,水泳など戸外のスポーツが普及しはじめた19世紀の終りころ,サイクリングをする女性たちの間で,テーラード・ジャケットに白いシャツ,裾を絞った膝丈のたっぷりとしたズボンやディバイデッド・スカートを着用し,男性用の帽子にリボンをつける服装が流行したが,そのズボンをブルーマーズと呼んだ。こうした男性風の服装をした女性を〈ムッシュー・ローブ〉などといって風刺した。このブルーマーズはツイードやホームスパンなど厚手の生地で仕立てられていた。20世紀に入ると,女性のスポーツ着として普及した。日本でも,大正から昭和にかけて児童,女学生の体操着として黒綿,紺サージ製で,ウエストと裾にゴムを入れて絞ったひだのある膝丈のものが採用され,ブルマ,ブルーマーと呼んだ。初めは袴式のスカートの下にはいていたが,後にブルーマーズだけで体操をするようになった。第2次世界大戦後,白木綿の長ズボンや伸縮性のある素材で作られたスポーツ着が現れるとともに姿を消しつつある。
執筆者:池田 孝江
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報