翻訳|tweed
もと、スコットランドとイングランドの国境を流れるツイード川河畔で、チェビオットcheviot羊毛からつくられた2―2斜文組織の毛織物。18世紀なかばまでは、羊毛の剪毛(せんもう)から製織まですべて家内工業で行われ、産地では四枚綾(あや)four leaf twillといっていたが、スコットランド人はツイルtwillをtweelと誤って綴(つづ)り、これを販売したロンドン商人は川の名と、誤綴(ごてつ)したツイルとから考えてtweedを織物名にしたといわれる。現在のものは、チェビオット羊毛ばかりでなく、これに似た羊毛を使い、外観をツイード風にくふうしたもので、機械紡績の紡毛糸により力織機で織った紡毛織物をも含めている。
生地(きじ)は、原料に太い雑種羊毛を用いるために手ざわりも非常に粗剛な感じであり、縮絨(しゅくじゅう)、起毛を行わないから織り目がはっきりしている。ホームスパンhomespunが平織であるのに対して綾織である点が異なるだけで、名称もしばしば混同して用いられている。柄は、霜降り、無地、杉綾の縞(しま)ものがもっとも多い。
[角山幸洋]
Scotch tweed日本では単にツイードともいい、もっとも基本的な生地であるが、ほかの種類のものを含めた総称として使うことがある。経緯(たてよこ)のうち一方を白の紡毛糸、他方を黒またはその他の色相にばら染めした紡毛糸を使う。
[角山幸洋]
Harris tweedスコットランド北岸のアウター・ヘブリディーズIslands of the Outer Hebrides諸島産の手織りの紡毛ツイードをさし、ツイードのうちでもっとも高価な種類である。名称は、ハリス・ツイード協会の登録商標になっている。厚手のウールで野趣に富む味のある生地である。
[角山幸洋]
紡毛織物の一種。一般にはイギリスのチェビオット種,ブラックフェイス種,ハードウィック種などの羊毛,または長毛種のボーダー・レスター種,リンカン種や,ダウン種のオックスフォード・ダウン,クラン・フォレスト種などの羊毛を原料とする,紡毛糸による綾織や平織のざっくりした風合いの織物をいう。起毛や縮絨(しゆくじゆう)を行わないため織り目がはっきりし,手触りも粗く量感がある。語源は,本来イングランドとスコットランドの国境に位置するボーダー地方で織られていた粗剛な綾織のツイルtwillが,18世紀半ばころにスコットランド語でtweelとつづられ,しかもこの地方のトウィード川流域で製織されていたことからロンドンの商人がtweedと誤記したことによる。代表的な多色配色はヘザー・カラーheather colorと呼ばれ,イングランド,スコットランド,アイルランドの自然の草花の色調として親しまれている。上記の原料としての羊の名を冠したツイードのほかに,生産地名によるハリス・ツイード,ドニゴール・ツイード,スコッチ・ツイードなどの名称や,使用する糸のタイプによるネップ・ツイード,ブークレ・ツイードなど,さらにそれを使用したデザイナー名を冠したシャネル・ツイードなどがある。また本来のツイードに縮絨,起毛を施したブラッシド・ツイードもある。いずれも無地,縞物,霜降りがあり,ジャケットやコート,スーツなどに用いられる。
執筆者:山崎 宗城
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…これに対し古都エジンバラは,軽工業や金融業に特色を有する文化都市である。(3)南部 中央の丘陵地帯では粗放的牧羊が広く行われ,それを利用したトウィード河谷の羊毛工業は,ツイード織として知られる。ベリック周辺の東部低地では大麦,エンバク等の栽培が,西部のソルウェー湾岸低地では酪農もみられる。…
…スコットランド南部高地のトウィーズ・ウェルに源を発し,北東から東流,途中エトリック,ティービオット,ティルなどの支流を合わせ北海に注ぐ。メルローズまでの上流域は河谷を形成し,粗放的牧羊地帯となって,〈ツイード織〉で有名な毛織物工業がガラシールズ,セルカークなどで発達する。下流の約27kmはスコットランドとイングランドの境界線となり,河口都市ベリック・アポン・トウィードはイングランド側に属する。…
※「ツイード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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