リリー(読み)りりー(英語表記)John Lyly

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リリー」の意味・わかりやすい解説

リリー
Lyly, John

[生]1554頃.ケント
[没]1606.11. ロンドン
イギリスの小説家,劇作家学者の家に生れ,オックスフォード大学に学んで人文主義的教養を身につけた。紳士の教育を扱った教訓的小説『ユーフュイーズ』 Euphues,the Anatomy of Wit (1578) とその続編『ユーフュイーズとそのイギリス』 Euphues and his England (80) によって人気を得た。これらにおいて用いられた比喩修辞に富んだ技巧的文体は「ユーフューイズム」と呼ばれ,文壇に大きな影響力をもった。また宮廷人の観客を対象として『キャンパスピ』 Campaspe (84刊) ,『エンディミオン』 Endimion (91刊) などの優雅な散文喜劇を発表。一時は国会議員としても活躍した。

リリー
Lily, William

[生]1468頃.ハンプシャー,オーディハム
[没]1522
イギリスの古典学者,文法学者。オックスフォード大学卒業後,南ヨーロッパ各地を旅行し,その間ギリシア語を研究。帰国後セントポール・スクール教頭をつとめた (1512~22) 。イギリスにおけるギリシア語研究の開拓者であり,またラテン語文法書の共同執筆者の一人となったが,この"Lily's Grammar"はたびたび改訂されながらも 18世紀まで,グラマー・スクール教科書として用いられた。

リリー
Lillie, Beatrice(Gladys); Lady Peel

[生]1898.5.29. トロント
[没]1989.1.20. オックスフォードシャー,ヘンリーオンテムズ
カナダ生れの喜劇女優。 1914年ロンドンでデビュー,以後ロンドンとニューヨーク出演。『メイム伯母さん』 (1958) のような喜劇にも出演したが,主としてレビューキャバレーで活躍。特異な持ち味の演技と個性的な歌で人気を博した。 52年から始めた独演ショー『ベアトリス・リリーの夕べ』が有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リリー」の意味・わかりやすい解説

リリー
りりー
John Lyly
(1554?―1606)

イギリスの小説家、詩人、劇作家、国会議員。代表作は紳士教育を扱った散文物語『ユーフューズ』二部作(1578~80)で、頭韻や比喩(ひゆ)、並列法、対照法などを多用した美文体は、ユーフュイズムとよばれて流行した。『キャンパスピー』(1584)、『エンディミオン』(1591)など、伝説や神話を題材にした、少年劇団のための叙情的な高級喜劇(ハイ・コメデイ)もある。機知に富む散文体を戯曲に導入し、シェークスピアら同時代の劇作家に影響を与えた。

[上野美子]

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