改訂新版 世界大百科事典 「ブレステッド」の意味・わかりやすい解説
ブレステッド
James Henry Breasted
生没年:1865-1935
アメリカのエジプト学の創始者。イリノイ州ロックフォードの生れ。はじめ薬学を修めたが,のちヘブライ語を学ぶうち,古代オリエント史一般,とくにエジプト学に関心を深め,ドイツに渡ってA.エルマンの弟子となる。帰国後シカゴ大学でアメリカでは最初のエジプト学の教授職についた。そののちロックフェラー財団の援助をうけて,同大学にオリエント研究所を設置し,文献収集,考古遺物の入手と陳列,遺跡の発掘・調査およびその報告書作成などにつとめ,同研究所を新大陸におけるオリエント諸学のメッカとし,またエジプト学の弟子も多く養成した。主著に《エジプト史》(1905),《エジプト古記録》5巻(1906-07),《古代エジプトにおける宗教と思想の発展》(1912),《古代史》(1916)などがある。とくに医学に関するエジプトの〈パピルス文書〉の研究においてすぐれた業績を残したのには,若いころ学んだ薬学の知識が役立ったといわれる。
執筆者:加藤 一朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報