エルマン(読み)えるまん(英語表記)Mischa Elman

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルマン」の意味・わかりやすい解説

エルマン(Abel Hermant)
えるまん
Abel Hermant
(1862―1950)

フランス小説家。軽妙さとシニスムに満ちた文体で、ベル・エポック(よき時代)の上流社会風俗を描いた。『大西洋航路客船』(1897)、『豪華列車』(1908)、連作『社交界史のための覚え書』(1901~37)など。1927年アカデミー会員となり『文典』(1932)執筆中心となった。フランス語の純粋擁護論者として『フランス語擁護』(1938)などがある。しかし44年、対独協力を問われてアカデミーから除名された。

小林 茂]


エルマン(Mischa Elman)
えるまん
Mischa Elman
(1891―1967)

ロシア出身のアメリカのバイオリン奏者。ペテルブルグ音楽院アウアー師事ハイフェッツジンバリストミルスタインと並んでアウアー門下の四天王といわれた。美しい甘美な音色は「エルマン・トーン」とよばれて1920年代には一世を風靡(ふうび)、とくに小品の演奏にかけては、クライスラーティボーに匹敵する人気を得た。21年(大正10)初来日。

[岩井宏之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルマン」の意味・わかりやすい解説

エルマン
Elman, Mischa

[生]1891.1.20. タルノイエ
[没]1967.4.5. ニューヨーク
ロシア生れのアメリカのバイオリン奏者。ペテルブルグで L.アウアーに学び,12歳のときベルリンでデビュー。天分を発揮して大成功を収め,翌 1905年ロンドン交響楽団に独奏者として迎えられ,以後世界各地に演奏旅行,名声をあげた。 21,37,55年と3度にわたって来日。「エルマン・トーン」と呼ばれる甘美な音色で多くのファンを集めた。 23年アメリカに帰化。

エルマン
Hermant, Abel

[生]1862
[没]1950
フランスの詩人,小説家,劇作家。連作小説『社会の歴史に役立つ記録』 Mémoires pour servir à l'histoire de la sociétéで知られる。ほかに,『フランス語の擁護』 Défense de la langue française (1937) が有名。第2次世界大戦中の対独協力のかどで戦後終身刑を宣告されたが,1948年釈放。

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