プラユット・チャンオチャ(英語表記)Prayuth Chan-ocha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

プラユット・チャンオチャ
Prayuth Chan-ocha

[生]1954.3.21. ナコンラーチャシーマー
タイ軍人,政治家。首相在任 2014~23)。軍隊に入り,王妃の親衛隊として知られた陸軍第21歩兵連隊に所属。出世街道を歩み,2006年までに少将の地位についた。2010年から陸軍司令官。この間の 2006年,軍がクーデターを起こし,タクシン・チナワット首相を追放した。その後,新たに憲法が起草され,タクシンの妹インラック・チナワットが首相となったが,2013年末にタクシン派と反タクシン派の対立が激化して政府が機能停止状態に陥ると,この政治的混乱に乗じて,2014年5月,プラユット率いる軍がクーデターを起こし,政権掌握。暫定首相となったプラユットは,クーデターに対するみずからの責任を免ずる憲法を起草し,陸軍の定年を迎えたあとも首相と軍幹部を兼任できる態勢を整えた。2014年8月にはプミポン・アドゥンヤデート国王にも首相就任を正式に承認された。プラユットは君主制の維持や人身売買の撲滅などを公約に掲げ国民に平和を約束する一方で,反対派の弾圧に乗り出し,多数の政治家やジャーナリストを拘束した。2019年3月,下院総選挙が実施され,民政復帰が焦点となったが,親軍事政権の「国民国家の力党」がほかの親軍政党と合わせて過半数を確保し,プラユットの続投が決まった。

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知恵蔵mini の解説

プラユット・チャンオチャ

タイの軍人、政治家。1954年3月21日生まれ、東北部のナコーンラーチャシーマー県出身。王国防衛大学卒業後、陸軍でキャリアを積む。2014年、タクシン元首相派の政権に対するクーデターを主導して軍事政権を敷き、首相に就任した。19年には民政移管に向けて総選挙を行ったが、プラユット自身は連立政権を組んで首相の座を維持した。これに不満を強める若者らを中心に20年初頭から反政府デモが頻発した。プラユット政権は同年10月に緊急事態宣言を発令して、集会の禁止やインターネット規制などを行い、反政府デモに対する取り締まりを強化している。

(2020-10-22)

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