プロペラ水車(読み)ぷろぺらすいしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロペラ水車」の意味・わかりやすい解説

プロペラ水車
ぷろぺらすいしゃ

20~40メートルの低落差で、大水量の場合に用いられる水車。1843年にフランスのジョンバルJonvalが考案した。羽根車は船のプロペラによく似ており、羽根車を通過する水は回転軸と直角方向(半径方向)の速度成分をもたないため、軸流水車とよばれることもある。羽根車はボスに4~8枚の鋳鋼またはステンレス鋳鋼製の羽根を取り付けたもので、落差の大きいものほど羽根枚数が多い。羽根のボスへの取付け軸を負荷変動に応じて回転させ、つねに合理的な羽根角度に調整できるものをとくにカプラン水車という。部分負荷のときにも効率があまり低下しないため、大型のプロペラ水車としてはほとんどカプラン水車が用いられる。

池尾 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロペラ水車」の意味・わかりやすい解説

プロペラ水車
プロペラすいしゃ
propeller water turbine

プロペラ型の羽根を4~10枚備えた反動水車一種。 70~80m以下の低落差で水量が豊富な発電所に用いられる。水は案内羽根を経て下向きに流れ羽根車を軸方向に流れてこれを回転させる。落差と流量変化によって羽根の角度を自動的に調節できる可動羽根のもの (→カプラン水車 ) と,常に一定の角度の固定羽根のものとがある。横軸構造のプロペラ水車は約 20m以下の低落差にだけ適用され,円筒ケーシングが用いられるので,チューブラ水車 tublar turbineとも呼ぶ。プロペラ水車の場合,発電所も大きな建物は不要で,半地下式となることが多く,建設費も少くてすむ。

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