最新 地学事典 「ヘリウム同位体比」の解説
ヘリウムどういたいひ
ヘリウム同位体比
helium isotope ratio
希ガスの一種であるHe(ヘリウム)は,3Heと4Heの同位体をもつ。3Heは,鉄などへの宇宙線照射により生じる核破砕反応の結果として生じる成分や,核反応生成物として生じたトリチウムが半減期12年で壊変して3Heになって生じる以外は,ほとんどが地球や隕石形成時に捕獲された始原的な成分である。4Heは,Uやトリウムのα壊変の際に生成されるので,始原的な成分よりは放射性起原の成分が多い。3Heと4Heの同位体比は,その対象物が置かれた環境と時間の関数となるので,その同位体比からさまざまな情報が得られる。1969年に現在でも地球内部から始原的な3Heが地表にもたらされていることが確認された。それ以来,天然ガスや火山ガス,地下水や海水,岩石,鉱物などにおける3Heと4Heの同位体比の変動が測定され,それらの起原を論じることが行われてきている。Heは大気中から地球外へ絶えず失われているために大気中では5.2ppmしか存在せず,地球内部からのHe同位体比は大気中のHeからはほとんど影響を受けずにその源の情報を与える利点がある。
執筆者:兼岡 一郎
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

