日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリー・エズモンド」の意味・わかりやすい解説
ヘンリー・エズモンド
へんりーえずもんど
The History of Henry Esmond
イギリスの作家サッカレーの長編歴史小説。1852年刊。貴族の庶子として生まれたヘンリー・エズモンドの成長と、恩人カースルウッド卿(きょう)夫人レイチェルに抱く尊敬と感謝とがしだいに恋心へと変わっていく心理過程を中心として、17~18世紀のイギリスの社会、風俗をみごとに描く。結ばれた2人は新天地アメリカへ移住する。続編として、その子孫の生活を描いた『バージニアの人々』(1857~1859)がある。作者が友人の妻に抱いた実らぬ恋を、ここで美化し成就させている点でも興味深い。
[小池 滋]
『村上至孝訳『ヘンリー・エズモンド』(1949・新月社)』
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