日本大百科全書(ニッポニカ) 「トレベリアン」の意味・わかりやすい解説
トレベリアン
とれべりあん
George Macaulay Trevelyan
(1876―1962)
イギリスの歴史家。著名な歴史家・政治家マコーレーの甥(おい)を父とし、父も政治家であるとともにアメリカ史研究の優れた歴史家であった。ケンブリッジ大学卒業後、特別研究員となり(1898~1903)、一時大学を離れて著作に励み、第一次世界大戦に従軍したのち、1926年母校の近代史欽定(きんてい)講座担当教授に迎えられ、40年以後同大学トリニティ・カレッジ学長、ダーラム大学長などを務めた。大伯父マコーレーの伝統を引く自由主義的な立場からの政治史を中心とし、イギリス史全般の深い学識と生彩に富む文学的叙述に定評があり、『イギリス史』(1926)はイギリス通史の好著として広く愛読されている。主著には、ほかに『ウィクリフ時代のイギリス』(1899)、『スチュアート朝のイギリス』(1904)、『ガリバルディ、三部作』(1907~11)、『アン女王治下のイギリス、三部作』(1930~34)、『イギリス革命、1688~89』(1934)、『イギリス社会史』(1942)などがある。
[松村 赳]
『大野真弓監訳『イギリス史1~3』(1973~75・みすず書房)』▽『藤原浩・松浦高嶺訳『イギリス社会史』全2巻(1971~83・みすず書房)』▽『松村赳訳『イングランド革命』(1978・みすず書房)』