日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッケンバウアー」の意味・わかりやすい解説
ベッケンバウアー
べっけんばうあー
Franz Anton Beckenbauer
(1945―2024)
ドイツのプロサッカー選手。9月11日、ドイツのミュンヘンに生まれる。バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の中心選手としてヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ(現、UEFAチャンピオンズ・リーグ)3連覇(1974、1975、1976年)をはじめ、西ドイツ代表としては三度のワールドカップに出場して2位(1966年)、3位(1970年)、優勝(1974年)。1972年にはヨーロッパ選手権に優勝するなど、ありとあらゆるタイトルを手中に収め、エレガントなプレーぶりから「皇帝」とよばれた。1972年、1976年にヨーロッパ最優秀選手賞(バロンドール)を受賞。ベッケンバウアーの名を不動のものとしたのは、リベロ(自由な人の意)のポジションである。ディフェンスラインの最後尾に位置し、マークする特定の相手をもたないカバーリングディフェンダーだったスウィーパーに新しい概念を与え、機をみて攻撃に参加するリベロの名称を確立した。引退後は、西ドイツ代表監督を務め、1990年ワールドカップ・イタリア大会で優勝。選手、監督の両方でワールドカップを獲得した2人目(最初はブラジルのマリオ・ザガロMario Zagalo(1931―2024))の人物となった。2006年ワールドカップ・ドイツ大会の大会組織委員長。ドイツサッカー協会の副会長を務めた。
[西部謙司]