ベラミ(読み)べらみ(その他表記)Bel-Ami

デジタル大辞泉 「ベラミ」の意味・読み・例文・類語

ベラミ(〈フランス〉Bel-Ami)

モーパッサン長編小説。1885年刊。才能もない美貌びぼうの青年デュロアが、女を利用して栄達していくようすを描いた、自然主義小説の典型的作品

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精選版 日本国語大辞典 「ベラミ」の意味・読み・例文・類語

ベラミ

  1. ( 原題[フランス語] Bel-Ami 美貌の友の意 ) 長編小説。モーパッサン作。一八八五年発表。才能もない美貌の青年デュロアが女性を利用して栄達してゆく様子を描いた、自然主義小説の典型的な作品。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベラミ」の意味・わかりやすい解説

ベラミ
べらみ
Bel-Ami

フランスの作家モーパッサンの長編小説。1885年、『ジル・ブラス』紙に連載。『女の一生』に次ぐ長編第二作。ノルマンディー出身の青年ジョルジュ・デュロワは鉄道会社に勤める事務員で、月末の数日間はきまって持ち金がなくなり、食べるに事欠く状態。そのうち友人の勧めで新聞記者になると、持ち前の美貌(びぼう)(ベラミとは、「美男のおじさん」の意で彼のあだ名)と、厚かましさを武器に、友人やその夫人たちを利用して社交界に乗り出し、ついには大実業家の娘と結婚する。やがて舅(しゅうと)の経営する新聞社の実権を握って、パリの新聞界に君臨するようになる。名前もいつのまにかデュ・ロワと貴族風の綴(つづ)りに変えている。作者はこの物語を通して、フランス19世紀社会の世相、とくにある種のジャーナリズムを、また政府の植民地政策とひそかに通じあった金融界の一部を辛辣(しんらつ)に皮肉っている。

宮原 信]

『杉捷夫訳『ベラミ』(岩波文庫)』

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