ベルリン条約

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ベルリン条約」の解説

ベルリン条約(ベルリンじょうやく)

1878年7月13日ベルリン会議の結果調印された条約サン・ステファノ条約を修正してロシアのバルカン進出を阻むとともに,オスマン帝国の領内の若干の民族の独立を認め,オスマン帝国の解体過程に一画期をなした。この条約によって,ブルガリア自治的納貢侯国という半主権国として承認され,モンテネグロセルビアルーマニアは独立国として承認された。ボスニア・ヘルツェゴヴィナトルコの名目上の主権下にオーストリア占領・行政下に置かれた。ロシアがベッサラビアを回復したほか,ドナウ川航行などの規定が設けられた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベルリン条約」の意味・わかりやすい解説

ベルリン条約
ベルリンじょうやく
Treaty of Berlin

1877年の露土戦争の結果,締結されたサンステファノ条約 (1878.3.) によるロシアのバルカン進出を恐れたイギリス,オーストリア,ハンガリー要求で,ドイツが仲介に入り,オスマン帝国とロシアの間で締結された条約 (78.7.) 。その結果,モンテネグロ,セルビア,ルーマニアの独立,ボスニア・ヘルツェゴビナのオーストリアへの併合,ブルガリアの自治などが決められ,ロシアの南下政策は阻止され,イギリスとドイツの東方進出への足場がつくられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベルリン条約の言及

【ペッサリー】より

…鋼鉄製スプリングの環に半球状のゴム膜を張った避妊器具。腟内に挿入し,射精された精子が子宮内にはいるのを防ぐことで避妊を実現する。オランダで考案されたためダッチペッサリーが正称。男性の協力を必要としないため,欧米では避妊を推進した婦人運動家により推奨されて普及した。第2次大戦後日本でも避妊法の一つとして指導されたが,あまり普及せず製造会社もなくなった。
[使用法と短所・長所]
 直径が60~80mmとさまざまなサイズがあり,産婦人科医,助産婦などに診察を受けサイズを測ってもらい,自分に適したものを選ぶ必要がある。…

【ベルリン会議】より

…サン・ステファノ条約には,大ブルガリア公国の創設を足がかりとするロシア南下政策の意図が露骨に示されていたので,これに脅威を抱くイギリスとオーストリア・ハンガリーが強く反対した。〈誠実な仲介者〉を自任するドイツのビスマルクの呼びかけにより,イギリス,ドイツ,ロシア,オーストリア・ハンガリー,フランス,オスマン・トルコ,イタリアの7国代表がベルリンに集まって会議を開き,7月13日にサン・ステファノ条約を修正したベルリン条約に調印した。大ブルガリア公国の領土は約1/3に縮小され,ブルガリアが半独立の自治国として認められたほか,モンテネグロ(ツルナ・ゴーラ),セルビア,ルーマニアが独立国として承認された。…

【ルーマニア】より

… 77年露土戦争が始まると,ルーマニアもロシア側に立って宣戦を布告し,プレベンの会戦でオスマン帝国部隊を撃破した。この戦争の結果,78年サン・ステファノ条約でルーマニアの独立が承認され,それは同年のベルリン条約(ベルリン会議)でも確認され,81年にルーマニアは王国となった。 近代国家の形成にともない,ルーマニアは当時の政治思想に従ってキリスト教的な民族国家をその理念に掲げたが,そのために少数民族との関係の問題が生じてきた。…

【ベルリン会議】より

…そこでビスマルクの提唱により,アフリカ分割の原則を定めるとともに,既得の権益を相互に調整したうえでこれを国際的に承認することを目的として,ベルリン会議が開催された。参加国はアフリカ分割競争に加わっていたイギリス,フランス,ドイツ,ベルギー,ポルトガル,スペイン,イタリアのほか,オーストリア,デンマーク,アメリカ,オランダ,スウェーデン,ロシア,オスマン帝国など合計14ヵ国にのぼり,全7章,38条からなるベルリン条約を締結して会議はその幕を閉じた。 同条約の主要部分は,コンゴ盆地の自由貿易(第1章)と中立化(第3章),コンゴ川の航行の自由(第4章)などを取り決めたいわゆるコンゴ盆地条約と,奴隷貿易の禁止に関する宣言(第2章),ニジェール川の航行の自由に関する協定(第5章),アフリカ大陸沿岸部での新規の領土併合に関するルール取決め(第6章)などからなっていた。…

※「ベルリン条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android