改訂新版 世界大百科事典 「ベレスデゲバラ」の意味・わかりやすい解説
ベレス・デ・ゲバラ
Luis Vélez de Guevara
生没年:1579-1644
スペインの劇作家,小説家。オスーナ大学に学んだ後,セビリャの大司教に仕えたが,1600年大司教が死ぬと軍隊に入り,スペイン,アルジェ,イタリアの各地を転々とした。退役後はマドリードで文筆活動を行い,宮廷にも出入りした。生涯に400編(うち80編が現存)の戯曲を書き,そのジャンルは聖人伝,史劇,幕間狂言,聖餐神秘劇など多岐にわたっている。文体がローペ・デ・ベガのそれに酷似しており,彼との間に〈原作者〉の問題もおこるほどであったが,《ラベーラの山家娘》は,同じ題名のローペの作を凌ぐできと評された。彼の名声を高めたのは《王は血より重し》《死後に君臨す》の二つの史劇である。しかし今日では,当時の社会を風刺した悪者小説《びっこの悪魔El diablo cojuelo》(1641)の作者として知られている。なおこの小説は,フランスのルサージュの同名の小説の粉本となったものである。
執筆者:本田 誠二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報