ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペニャ・ニエト」の意味・わかりやすい解説
ペニャ・ニエト
Peña Nieto, Enrique
メキシコの政治家。大統領(在任 2012~18)。メキシコシティーのパンアメリカーナ大学で学士号を,モンテレイ高等工科学院で経営学修士 MBAを取得。1988年から 1990年まで大学で教授を務めた。1984年制度的革命党 PRIに入党。党内での地位を急速に高め,メキシコ州政界で活躍の場を広げ,2000~02年州行政長官,2003~04年州議会議員,2005~11年州知事などを歴任。州知事時代は,有権者に示した 600以上もの公約に基づいて政策を立案した。2012年7月大統領選挙に立候補し,250をこえる公約を実現すると訴え,対立候補のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドルを抑えて当選した。しかし,その後広範な不正行為に対する非難や,PRIが金で票を買ったとの疑惑がもち上がり,釈然としない勝利となった。同 2012年12月大統領に就任。在任中は制度改革を進め,なかでもエネルギー改革関連法の成立は大きな注目を集めた。一方で,経済成長は減速し,治安も悪化。2014年にイグアラで起こった反政府デモ参加者の大学生 43人の失踪事件では,政府が真実を隠蔽したとの批判が上がり,2016年にはメキシコ側の費用負担でアメリカ合衆国とメキシコの国境に壁を建設すると公約していたドナルド・トランプをメキシコシティーに招いて会談を行なったことなどで,支持率は 1990年代以降のメキシコ大統領のなかで最も低いものとなった。
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